雨の日の竣工写真、室内撮影について

竣工写真の撮影日が雨予報。

「せっかくの新築住宅だから、晴れた日に撮影したい」

そう考える方は多いと思います。

もちろん、青空を背景にした外観写真を撮影するのであれば、晴れた日の方が向いているケースは多くあります。

では、室内の竣工写真はどうでしょうか?

実は室内撮影に限って言えば、晴れた日よりも、曇りや雨の日の方が撮影しやすいことがあります。

晴れの日=室内撮影に最適、とは限らない

晴れた日は、窓からたくさんの光が入ります。

部屋が明るくなり、一見すると撮影にはとても良い条件に思えます。

しかし、建築写真の撮影では、光が強すぎることがかえって難しい場合があります。

特に大きな窓や南向きの窓がある住宅では、時間帯によって室内に直射日光が入り込みます。

例えばフローリングに窓からの光が直接当たると、その部分だけ極端に白く飛んでしまうことがあります。

木の床は、光が当たっている部分と当たっていない部分で明るさに大きな差ができ、場合によっては、せっかくの木目や素材感が全くわからなくなってしまいます。

壁や家具にも強い影が出ます。

その結果、

「部屋全体としてはきれいなのに、写真にすると、なぜか一部分だけ明るすぎる」

「家具の影が壁に大きく出てしまった」

ということがあります。

真夏の高い日差しは、なかなか強烈です

夏は太陽が高い位置にあります。

窓から入ってくる光も強く、室内の床や壁に部分的な直射日光が入りやすくなります。

例えば、リビングの床の一部分だけに光が当たっているとします。

人間の目で見ると、それほど気にならないことでも、写真にすると明暗差が強調されることがあります。

写真で見ると、肉眼ではさほど気にならなかった明暗さが結構気になります。

特に建築写真では、部屋全体を見せながら、床・壁・家具などの素材感もきれいに残したい。

そのため、強い直射日光が入っている場合は、撮影する時間をずらしたり、別の部屋から撮影したりすることがあります。

つまり、

「晴れているから撮影しやすい」ではなく、「その時間にどこから光が入っているか」が重要なのです。

 

冬は低い太陽の光の差し方に気をつけています。

一方、冬は太陽の位置が低くなります。

低い位置から差し込む光は、室内に長い影を作ります。

これも使い方次第では、とても魅力的な光になります。

床に斜めに伸びる窓枠の影や、壁に落ちる家具の影によって、空間に奥行きや時間を感じさせることもできます。

ただし、いつでも都合よく光が入ってくれるわけではありません。

せっかくきれいに整えたLDKの中央に長い影が伸びてしまったり、壁の一部分だけに強い光が当たったりすることもあります。

そのため、冬の晴天時も、太陽の位置を考えて撮影時間を決める必要があります。

 

室内に綺麗に日が差し込む時間帯まで待って撮影します。

 

 

曇りの日は「光が回る」

 

雲によって太陽の光が拡散されるため、晴天時のような強い直射日光が入りにくくなります。

すると室内全体に柔らかな光が回り、強い影が出にくくなります。

窓際だけが極端に明るくなることも少なく、床や壁、家具などの明るさを比較的自然に写すことができます。

これは室内の竣工写真を撮影するうえで、大きなメリットです。

特に、

  • 無垢材など木の質感を見せたい住宅
  • 左官壁など素材感を大切にした住宅
  • 落ち着いた色のインテリア
  • 間接照明を使ったLDK
  • 和モダンなど、しっとりとした雰囲気の住宅

では、曇りの日の柔らかな光が空間に合うことがあります。

デメリットとしては、やや眠い写真になってしまうということでしょうか。

しかしこちらも時間帯考慮し、コントラストが強く出そうな時間帯を狙えば解消できることもあります。

 

 

しっとりとした柔らかい雰囲気が和モダンの空間によく合います。

 

 

雨の日の室内写真も、実は悪くない

さらに雨の日になると、空からの光はより柔らかくなります。

晴天時のような強い光と影が少なくなるため、室内全体を均一に近い状態で撮影しやすくなります。

写真の印象も変わります。

晴れた日の写真が、

明るい・爽やか・シャープ

という印象になりやすいのに対して、

雨や曇りの日は、

柔らかい・落ち着いた・しっとりした

雰囲気になります。

例えば、木の床や家具、ファブリックなど、素材の質感をゆっくり見せたい住宅では、この柔らかな光が非常に相性が良いことがあります。

 

 

 

名古屋市注文住宅撮影 建築写真 建築写真家 名古屋竣工写真 住宅撮影

敢えて雨の日に撮影しました。

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雨の日が似合うしつらえです。

 

ただし、すべての住宅に曇りの日が合うわけではありません

ここが大切なところです。

「室内撮影なら雨の日がおすすめです」

というわけではありません。

住宅のデザインやコンセプトによって、合う光は変わります。

例えば、

大きな窓から光がたっぷり入る、開放的で明るい住宅。

白い壁や明るいインテリアを使った、爽やかな雰囲気の住宅。

こうした住宅では、晴れた日の光を活かした方が魅力的な場合があります。

反対に、

木や石などの素材感を大切にした住宅。

落ち着いた色のインテリアを使った住宅。

間接照明や柔らかな照明を取り入れた住宅。

こうした空間では、曇りや雨の日の柔らかな光が雰囲気に合うことがあります。

だから、撮影日は「晴れか雨か」だけでは決めません

室内の竣工写真では、天気だけで撮影の良し悪しを判断することはできません。

重要なのは、

「その住宅を、どんな雰囲気の写真にしたいのか」

ということです。

明るく爽やかに見せたいのか。

落ち着いた雰囲気にしたいのか。

木や石などの素材感を見せたいのか。

窓から入る光そのものを演出として使いたいのか。

それによって、晴天が良い場合もあれば、曇天が良い場合もあります。

また、同じ晴れの日でも、午前と午後では太陽の位置が変わります。

「この部屋は午前中に撮った方がいい」

「この窓から光が入る時間帯は避けた方がいい」

など、撮影する時間によっても写真は変わります。

「雨だから延期」ではなく、「雨だから室内を撮る」という選択

もし撮影日に雨予報が出ていたとしても、室内まで延期する必要がないケースもあります。

例えば、

雨の日は室内を中心に撮影する。

そして、外観写真だけ天候の良い日に改めて撮影する。

そんな撮影方法も考えられます。

もちろん、撮影する住宅や求められる写真のイメージによって判断は変わります。

竣工写真は、単純に「晴れた日に撮ればきれい」というものではありません。

むしろ室内写真では、強い光よりも、柔らかく回り込む光の方が空間をきれいに見せてくれることがあります。

晴れの日には晴れの日の良さ。
曇りの日には曇りの日の良さ。
雨の日には雨の日の良さ。

大切なのは、その住宅にどんな光が合うのかを考えることだと思ってます。

 

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建築写真専門フォトグラファー

インテリアコーディネーター

建築写真家協会正会員

杉村 拓実

 

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